インフルエンザに似たRSウイルス感染症とは

RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することによって呼吸器官にさまざまな症状を引き起こす感染症です。
年齢に関係なく感染し、感染後実際に症状として現れる顕性感染を繰り返しますが、特に乳幼児期においては非常に重要な疾患であるとされています。
生後2歳までにはほぼ100%の小児がRSウイルスの初感染を受けるとされており、大半は風邪の症状が1週間ほど続いたあと自然に治ることが多く、年齢を重ねるほど症状は軽くなります。
しかし生後数週間~数ヶ月の時期の乳児においては母親の体内から引き継いだ移行抗体を持っているにも関わらず、重篤な症状を引き起こすこともあります。
生後数週間から数ヶ月の赤ちゃんが感染すると、気管支炎や肺炎を起こし重症化することもある感染症です。

RSウイルスは感染力が強いのが特徴で、咳やくしゃみによって空気中に飛散したウイルスによる飛沫感染や接触感染により感染します。
乳幼児から高齢者まで生涯にわたって感染を繰り返すといわれており、特に年長者になるにつれ症状が現れなかったりRSウイルス感染と気づかないような軽症例も多いとされています。
よって大人が自分の感染に気づかず容易に乳幼児への感染が広がってしまうなど、家族間の感染や乳幼児の集団生活施設(幼稚園や保育園)などでの流行を防ぐことは難しいといえます。

RSウイルス感染症は、早いときは9月ころから患者数が伸び、流行のピークは11月~1月とされています。
咳や鼻水から始まり、高熱をきたす症状であることや、その流行時期からインフルエンザであると誤診を受けることも珍しくないようなので注意が必要です。
RSウイルス感染症は鼻水の症状や咳やくしゃみ、呼吸のゼーゼーという異音(喘鳴)などの呼吸器症状がメインであるため、風邪の症状や高熱でインフルエンザと診断されたあともそのような呼吸器症状がひどくなる場合には、RSウイルス感染症を疑う必要があります。

乳幼児は症状が重症化しやすいので注意

RSウイルス感染症の具体的な症状としては、発熱、鼻汁などの上気道炎症症状が見られ、数日間続きます。
そのうち初感染の小児の20~30%ではその後下気道にも症状が現れるとされ、特に感染が気道の下部へと進行し細気管支まで及んだ場合には、特徴的な病型である細気管支炎となります。
細気管支炎は、炎症による気管支の浮腫(むくみ)や気管支への分泌物などにより、呼吸の際の空気の通り道である気管支が狭くなり、呼吸性喘鳴(ゼーゼーという呼吸音)や多呼吸を引き起こします。
さらには痰が細気管支に溜まり道を塞いでしまうことで、肺に到達する空気が少なくなり、空気が肺胞に届かず無気肺を起こすこともあります。
このように細気管支の炎症・閉塞は呼吸困難を引き起こし、命に関わる危険性があるため特に注意が必要です。
生まれつき心臓や肺に何かしらの疾患があるような小児では、しばしば蔓延化・重症化してしまいます。
2~6ヶ月くらいの乳児は免疫力が弱く、さらに呼吸機能が未発達な低出生体重の新生児・乳児期や先天性心疾患・喘息などの呼吸器疾患をもつ子供は重症化しやすい基礎疾患とされています。
特に赤ちゃんにとって急性細気管支炎は重篤な病気であり、気管支が詰まってしまうことで重症な呼吸困難を引き起こし、チアノーゼや無呼吸になることもあります。
息が出来ず無呼吸状態が続くと、たとえ呼吸が戻ったとしても脳に重篤な障害が残る可能性も出てきますので、低出生体重の新生児などはたとえ鼻水程度であっても、赤ちゃんの様子を気にかけておくことが大切です。

このように乳幼児にとってRSウイルス感染症は重症化すると命に関わる感染症であり、インフルエンザとの誤診も多いことから、まずは早期発見に努めることが重要です。
治療の方法としては対処療法が中心となります。
対処療法は、病気の原因ではなく病気の主な症状を軽減するための治療ですが、痰を除去する薬や気管支拡張薬などで呼吸器症状を和らげながら、自然治癒力を高め回復を促します。
RSウイルスであることが診断されれば、重症化する前に治療することも可能ですので、その症状の特徴を知り日頃から気をつけておくことが大切です。